手ぬぐい工房Blog

2023.12.07 お役立ちコラム手ぬぐい工房Blog

色落ちって実際どうなの?顔料と染料(反応染)の違いは?

作った手ぬぐいが色落ちしないか、お客様にとって一番気がかりなところではないでしょうか?

正直なところ、色落ちは確実にします。
ですが、製法によって色の落ち方に違いがあります。

当店の手ぬぐいは「手捺染・てなっせん」(別名:ハンドスクリーンプリント)で製作しています。
印刷で言うシルクスクリーンプリントと似た製法ですが、染色業界では「捺染(なっせん)」という言葉を使うことが多いです。

「手捺染」は1色ごとに型を作り、色糊をスキージーと言われるへらで1枚ずつ生地に刷り込んでいく製法です。
当店の手捺染の着色方法には「顔料捺染」と「染料捺染|反応染」の2種類があります。

【顔料捺染】
生地の表面に色の粒子を「糊」で接着して染色する製法です。
納期が早く手頃な価格で、色や柄の再現性に優れ、細かい柄も綺麗に出すことが出来ます。
デメリットとしては、水洗いや摩擦によって白っぽく色落ちする、染め部分の吸水性が少し劣る、黒などの濃色では仕上がりの硬さを感じる、などがございます。

【染料捺染|反応染】
反応染料で捺染後、「蒸し」「水洗い」「色止め」「乾燥」の作業を行います。
顔料に比べ価格は上がりますが、糸の内部までしっかり染まり、吸水性は良好で柔らかく風合いよく仕上がります。
デメリットとしては、高価であること、納期がかること、色の再現が難しいこと、初めのうちは水洗いによって色が出やすい、などがございます。

顔料と染料の製法の違い

「顔料」と「染料|反応染」は、繊維への着色方法に違いがあります。


【顔料捺染】
生地の表面に色の粒子を「糊」で接着して染色する製法です。色は生地の表面にくっついている状態です。

【染料捺染|反応染】
生地に反応染料を化学的に結合させて染色する製法です。繊維の内部まで色が浸透します。

顔料の手ぬぐいを洗ってみた​​

手ぬぐいの洗い方は手洗いを推奨しておりますが、実際のところ洗濯機に放り込んでしまう方が多いのではないでしょうか?
今回の実験では、なるべく日常生活の中にある普段使いの手ぬぐいを想定して、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗ってみました。


洗い方:表面を内側にして折りたたみ、洗濯ネットに入れて、普通モードで10分洗い

少しずつですが、色が薄く(明るく)なっているのが分かります。
繊維の表面についた色が少しずつ取れて、明るくなっていきます。
また、顔料は摩擦に弱いので、折り目になって擦れたところが白っぽく色落ちしています。


折り目スジ。摩擦が起こった箇所は白っぽく色落ちが起こります。

色の変化も手ぬぐいの楽しみのひとつ

顔料捺染の手ぬぐいは、洗いを重ねるごとに色が変化していきますが、逆にいうとその色落ちを楽しむことができます。
繰り返し洗った顔料の手ぬぐいは、使い込んだデニムのようにワイルドな風合いが出てきますよ。
下の手ぬぐいは初めは濃い藍色でしたが、毎日仕事着として使い続けることで色が変わってしまいました。
これはこれで使い込まれた職人の手ぬぐいの雰囲気で味がありますね。


仕事着として使い続けた手ぬぐい(協力:ヨコクラうどん様)

でもやっぱり、色落ちするのは嫌・・・という方は、デザインや取り扱いに工夫が必要です

【顔料捺染】の手ぬぐいを作るときに注意したいこと

■全面染めを避ける
全面にしっかり色が入っていると、色落ちや吸水性の悪さなど、顔料のデメリットが気になってしまいます。
地模様をいれたり、白い面積を増やして、白地を生かしたデザインがおすすめです。

■濃色を使わない
黒、濃紺、深緑などの濃い色は、色落ちが目立ちやすいです。
グレー、イエロー、ベージュ、黄緑、ピンクなど、白とのコントラストが低い色は色落ちしても目立ちにくくなります。

■ドライクリーニングはご法度!

ドライクリーニングはお控えください。色が薬品に反応し剥がれ落ちてしまいます。

■摩擦はNG!
顔料の手ぬぐいは摩擦がNGです。 なぜかというと「顔料の粒子は生地の表面に引っ付いている状態だから」です。
ゴシゴシ摩擦を受けた部分は色の粒子が剥がれて、白っぽく色落ちしてしまいます。
やさしくたっぷりの水で振り洗いを推奨しますが、洗濯機に入れる場合は、表面を内側にしてたたみ、洗濯ネットに入れてください。


洗濯機に入れる場合は、摩擦を避け、表面を内側にしてください。

【染料捺染|反応染】の手ぬぐいを作るときに注意したいこと

染料捺染の手ぬぐいは、糸の内部まで染まっているので顔料のように白っぽく色落ちすることはありません。
徐々に薄く、やわらかく色落ちしていきます。

■色移り注意
染料は水に溶けるので、つけ置きや濡れたまま放置をすると他の洗濯物に色移りすることがあります。
洗濯後は素早く干すようにしましょう。

■色の再現性について
染料捺染は作業工程が多い為、顔料捺染より色の再現が難しくなっています。
色にこだわりがある場合は顔料捺染をおすすめします。

■納期に余裕をもって
染料の手ぬぐいは、捺染の後に蒸しや洗いなどの工程が加わりますので、顔料の納期にプラス7営業日は必要です。
また、にじみやすいため気温や湿度などの影響も受けやすく、スケジュール通りに進まないことも多いです。
ギリギリの納期は避け、十分に余裕を持ったご注文をお願いいたします。


【染料|反応染】左が新品、右が3回洗濯したもの。若干明るくなりますが、ほとんど色落ちは気になりません。

それぞれの特性を生かした手ぬぐいを作ろう

顔料と染料、それぞれの色落ちの違いについてご理解いただけたでしょうか。
当店ではほとんどのお客さまが顔料捺染を選ばれご満足頂いていますが、 剣道やお祭りの衣装など、実用と吸水性が求められるものは染料が向いているかと思います。
それぞれの特性や用途に合った製法をお選びくださいね。

製法について迷ったり、ご質問がある場合はお気軽にお問い合わせください。

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